ラストコンタクト
今朝、混んだ電車に乗っていると電車が止まり、
静かな車内に、
「ただいま停止信号の為、停止しております」
というアナウンスが流れた。
しーん
人がわんさか居て、たぶんほとんどの人は急いでいるのだけれど、
誰も何も言わずその場でフリーズしている。
こういう時、何か人間って感じがする。
感覚じゃなくて理屈で動く知的生命体っていうか。
まあどうでもいいんだけれど。
で、そんな静まり返った車内に、
「すみません。コンタクト落しちゃって」
という爆弾がブッ込まれた。
みんな知的生命体らしく、微動だにしない。
もちろん下手に大勢が動いたら、コンタクトを踏む確率が跳ね上がると皆わかっているからだ。
決して無関心ではない。
無反応のまま、スマホを弄る手だけが忙しなく動いているのは、そうすることが脱コンタクトビトにとってベストだと判断しているに他ならない。
どーでも良いなんて微塵も思ってないはずだ、きっと。
※ どーでも良いの余事象 ≠ どーでも良くない
「色付いていますか?」
脱コンタクトビトのとなりの女が反応した(おそらく自分に言われていると思ったからだろう)。
「付いてないんですよ」
これはキビシイ!
もうコナン君しか解決出来ないでしょ。
「え? やだよ。ボクメガネ贔屓だもん」
ってみんな思ったかどうかは知らんが、その後終点に着くまで脱コンタクトビトもその隣人もその他大勢も、誰も何も言わなかった。
なんか、ノー・マンズ・ランドのラストを思い出した。